2021年の展覧会

Keith Haring: 360°
 2021年5月15日(土)-2022年5月8日(日)

HOKUTO ART PROGRAM
 2021年10月16日(土)-2022年5月8日(日)
  脇田 玲:アランとキースのために
 2021年10月30日(土)-2022年5月8日(日)
  SIDE CORE:IC1(Imaginary Collection 1)

後援:米国大使館、山梨県、山梨県教育委員会、北杜市、北杜市教育委員会

協力:キース・ヘリング財団、シミックホールディングス株式会社、高知県立美術館、公益財団法人多摩市文化振興財団

 

キース・へリングは1980年代初頭、ニューヨークの地下鉄構内の空き広告スペースにチョークで描 いた「サブウェイ・ドローイング」によって一躍有名になりました。1981年の初個展以前よりクラブやシアター など画廊以外の場所でも自らキュレーションをして展覧会を開催するなどその活動は多岐に及びます。そし て「ドクメンタ7」(1982年)や「ヴェネチア・ビエンナーレ」(1984年)といった主要な国際展にも選出されるよう になり、アーティストとしての地位が確立されていきました。1990年エイズによる合併症のため31歳の若さで この世を去りますが、没後30年を経た今でもその人気は衰えることがありません。シンプルで明るい印象が 強いヘリングの作品ですが、子どもたちへの支援、反戦・反核、人種やセクシュアリティーに対する差別撤廃、 HIV・エイズ関連のアクティビズムなど、問題提起が多く含まれています。また美術史への深い洞察やテクノ ロジーへの強い関心など、空間軸や時間軸にとらわれない眼差しで世の中を描写しました。

本展のハイライトとなるのは、彫刻作品《無題(犬の上でバランスをとる人)》(1989年)です。へリングの彫刻 といえば、まるで二次元から飛び出てきたような平面的な形が組み合わさったフィギュアで、目を引くような ビビッドな作品が代表的ですが、本作は生のアルミ素材が渋い輝きを放ちます。彫刻のまわりをぐるりと一 周してみましょう。見る角度で異なる像が現れます。人が犬の上に乗って無邪気に遊んでいるようにも見え ますし、作品タイトルの通り、なんとかバランスをとっているように見えるかもしれません。人間と動物との共 存関係や、その像のポーズは測り知れない未知の社会に対する不安を思い起こさせることもあるでしょう。

また、本展ではアーティストであり美術ジャーナリストの村田真氏が1982年12月から翌年1月にかけ てニューヨークでヘリングに密着取材した際の一連の写真群を初公開いたします。そのほか、防水布にペイ ントを施した絵画作品《無題(KH.200)》(1982年/高知県立美術館蔵)、東京都多摩市で約500人の子どもたちと 描いた壁画《マイ・タウン》、《平和I-IV》(1987年/多摩市文化振興財団蔵)、そしてアムステルダムで制作され、新 たに当館コレクションに加わった全6点の版画シリーズ《バッド・ボーイズ》(1986年)も披露します。

本展ではヘリングの多角的な芸術性と社会への深いメッセージを360°のアングルで再考します。

 

《無題(KH. 200)》、1982 年 、高知県立美術館蔵

展示期間:2021年5月15日(土) – 2022年1月11日(火)

【初公開】ドキュメント写真、1982–1983年、Photo by ©Makoto Murata

《マイ・タウン》、《平和I–IV》、1987年、多摩市文化振興財団蔵

展示期間:2021年5月15(土) – 2021年10月11日(月)

《無題(犬の上でバランスをとる人)》、1989年、Photo by ©Shu Nakagawa

 

 

 

2021年10月30日(土) – 12月12日(日)、公益財団法人 清春芸術村、中村キース・へリング美術館、公益財団法人 平山郁夫シルクロード美術館、女神の森 セントラルガーデン、身曾岐神社を舞台にHOKUTO ART PROGRAM ed.1を開催します。

第一回目を迎える本年は、多様なジャンルのアーティストが参加し、アート・建築・映画・音楽などのカルチャーを、山梨県北杜市固有の景色や空気と融合させることで、不確実な世界に向けて、新たな感動体験をつくります。

主催 HOKUTO ART PROGRAM 実行委員会

総合ディレクター   吉井仁実

 

 

中村キース・ヘリング美術館では、下記日程で特別展示をいたします。

2021年10月16日(土)-2022年5月8日(日)

脇田 玲:アランとキースのために

 

【アーティストステートメント】

性的マイノリティとして異なる時代を生きた二人の天才、アラン・チューリング(1912年−1954年。イギリスの数学者、暗号研究者、計算機科学者、哲学者)とキース・ヘリングの時を超えた対話の場を作ろうと考えました。ヘリングのドローイングへの数学的な再解釈、ホモフォビアから LGBT へと変化してきた多様性の議論の変遷など、副次的なメッセージも込めて作品を作りました。

世界という書物は数学の言語で書かれている。 ーガリレオ・ガリレイ

【脇田 玲(わきた・あきら) 】

科学と美術を横断しながら、映像、インスタレーション、彫刻、ライブ活動などを通して、肉眼で捉えられ ない風景を見るための作品を制作している。これまでに、Ars Electronica Center、WRO Art Center、Mutek、Redbull Music Festival、 清春芸術村、日本科学未来館、Media Ambition Tokyo、2121_DESIGN SIGHT 等で作品を発表。主な展示に「高橋コレクショ 『顔と抽象』- 清春白樺美術館コレクションとともに」(2018)、日産LEAFと一体化した映像作品「NEW SYNERGETICS -NISSAN LEAF x AKIRA WAKITA」(2017)などがある。博士(政策・メディア)。慶應義塾大学環境情報学部教授。

http://akirawakita.com/

*脇田玲による解説はこちら

 

 

2021年10月30日(土)-2022年5月8日(日)

SIDE CORE:IC1(Imaginary Collection 1)

 

【アーティストステートメント】

アーティストグループSIDE COREは約10年間に及び展覧会を企画してきました。2012年原宿での最初の展覧会では、会場のエントランスにヒップホップとストリートアート黎明期を象徴する貴重な資料を展示しました。

それは1988年1月、代々木公園の歩行者天国でCHINOとアオピーを含むダンスクルーがブレイクダンスをする中、来日していたキース・ヘリングが彼らをモチーフに、歩道にチョークでドローイングを行ったときの映像と、その時にダンサーが着ていたベースボール・シャツにヘリングがドローイングをしたものです。現在はキース・ヘリング美術館に展示されています。

SIDE COREは年齢や性別、国籍が異なる100名近くのアーティストと関わる中で、作品を貰い受けたり、交換したり、購入する機会がありました。それら1点1点はとても魅力的で貴重な作品です。今回中村キース・ヘリング美術館に特別なコレクションルームを作り、これまでに集まった作品の一部を披露します。アーティストの作品コレクションは美術館やコレクターのそれとは異なる意味を持ちます。冒頭のストーリーのように、アーティスト同士の関係性の記憶であり、作品制作における参考資料であり、美術史に物語を与えるマテリアルとなります。

今回の展示ではSIDE COREのメンバーの家か、あるいはスタジオを模した架空の部屋が作られ、鑑賞者はプライベートな空間を覗き込むことで作品を鑑賞することができます。記憶の部屋ともいえる空間では、見る角度や一定の位置から見える組み合わせによって、それぞれの作品に異なる意味が生じるのです。

SIDE COREはストリートアートをベースにしたリサーチやプロジェクトを展開している経緯から、歴史的な資料としてキース・ヘリングの作品をはじめ、その後の時代を作った多種多様なアーティストの作品、そしてかつてのキースのように路上を舞台に活躍する10代のアーティストの作品までが蒐集されています。このコレクションは時代や場所を超えた物語を紡いでいるのです。キース・ヘリングの脳内を覗き見ることのできる美術館で、SIDE COREが見ている「その後の物語」に触れてみてください。

【SIDE CORE】

2012年より活動開始。メンバーは高須咲恵、松下徹、西広太志。ストリートカルチャーを切り口に様々なアートプロジェクトを展開している。「風景にノイズを起こす」をテーマに、都市や地域でのリサーチを土台としてアクションを伴った作品を制作。 ギャラリーや美術館での展覧会開催の他に、壁画プロジェクトや街を探索する「ナイトウォーク」など野外空間での活動も展開。全てのプロジェクトは、公共空間における視点や思考を転換させ、表現や行動を拡張することを目的としている。近年参加した主な展覧会に「alternative kyoto」(2021/ 京丹後)、「水の波紋展2021 消えゆく風景から ー 新たなランドスケープ」(2021/ ワタリウム美術館)、SIDE CORE / EVERYDAY HOLIDAY SQUAD 個展「under pressure」(2021/ 国際芸術センター青森)など

IG: side_core_tokyo

 

最新情報は当館のインスタグラムにてご確認ください。

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