キース・ヘリング没後30年を迎え、 時代を超えてヘリングの芸術が社会へ与え続けるインパクトを紐解 きます。
1990年2月16日エイズによる合併症のため31歳でこの世を 去ったキース・ヘリング。 1978年にペンシルベニア州からニューヨークに移り、 ストリートアートから瞬く間に80年代現代美術シーンで頭角を表 し世界中にその名を轟かせました。 地下鉄構内の空いた広告版にチョークで描いたサブウェイドローイ ング、絵画、彫刻作品だけでなく壁画制作、 パブリックアートやワークショップ、アンディ・ウォーホル( 1928-1987) の勧めによるポスター制作など商業的な分野への挑戦、 自身でデザインしたグッズを販売する《ポップショップ》 のオープンなど、短い生涯のなかで多岐に及んだ活動の根底には「 アートはすべての人のために」という信念がありました。
本展のハイライトとなるのは《オルターピース:キリストの生涯》 (1990年)です。教会の祭壇画(オルターピース) として制作された最期の作品です。ブロンズに白金箔が施され、 三連祭壇画の様式を踏襲し聖母子像や天使がヘリングの確かな線で 刻まれています。また自身が被写体となった一枚の写真をもとに制作した《無題( 自画像)》(1988年)や、 子どもたちが自由に物語を想像できるように描かれた《 赤と青の物語》(1989年)を展示。
さらに、ウィリアム・S・バロウズ(1914-1997)とキース・ヘリングによる共同作《アポカリプス》を公開いたします。