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Photo by ©︎Motosugi Ikumo

キュレーターズ・セレクション008「Keith Haring Muralism: Dancing at the Wall vol.1 KAMI、vol.2 SASU –Chance occurrence: toward HITOTZUKI–」

2014/09/01 (月) - 2014/11/10 (月)
会場:中村キース・ヘリング美術館
特別協力:Keith Haring Foundation

キース・ヘリングは1982年からニューヨークのダウンタウンの壁画をはじめ、ベルリン、メルボルン、ピサなど世界中で壁画(ミューラル)制作し続けました。「Crack is Wack」(ニューヨーク)のような社会的なメッセージを込めたものから、同時代のグラフィティアーティストや子どもたちとのコラボレーションなど、ヘリングにとって壁画制作は公共との接点であり、サブウェイドローイング同様、最高のコミュニケーションのミディアムだったのです。本展では、キース・ヘリングの壁画のイズム(ミューラリズム)を継承する日本人アーティストによる、長さ約100メートルの壁画が工事現場用仮囲いに展開されます。

第1期では、日本のストリート・アートシーンの開拓者であり世界的に活躍するKAMIの街中の日常から生まれたウェイヴが八ヶ岳の大自然に介入し、美術館の建築、キース・ヘリングのドーローイングのラインとも対話し、新たな波動が出現しました。それはオーガニックな時の流れの中でタバコ農園の納屋に壁画を描くBarnstormers*の活動をも彷彿とされるものでもありました。

第2期となる本展では、日本のストリート・アートシーンでは紅一点、その土壌を築き上げてきたSASUが加わります。SASUはKAMIのパートナーでもあり、”HITOTZUKI”として共同制作をしています。

「今描くことは、二児の子育てをはじめ、日頃から多くの事を考えてしまう複雑な自分、そして現代の生活の喧噪のどこかに、シンプルで単純明快な憩いを求めていく行為なのかもしれない」とSASUはいいます。その憩いは、ここ八ヶ岳の大自然の春夏秋冬を感受しながら、KAMIのウェイヴと重なり合い、シンメトリーなシンボルとなり壁画に現れます。

「 HITOTZUKIはファミリーネームのような感覚がある…。家があって、そのなかにKAMI&SASUという個々のアイデンティティも確立されている」。先に描かれたKAMIの壁画に、SASUがエッセンスを加える、今回の制作スタイルはHITOTZUKIとして異例のスタイルとなります。二人が共に歩む人生とともに、互いの個性を改めて確かめ合うかのように、着実に進化し続ける、HITOTZUKIの世界観をお楽しみください。

本展は、原宿にあるGallery COMMONをはじめストリートのシーンで様々なプロジェクトを手がけている集団en one tokyoの協力のもと、当館との共同企画により開催されます。

*Barnstormers(バーンストーマーズ)

デイヴィッド・エリスによって1999年に結成。米国ノースカロライナ州のタバコ農園の納屋に壁画を描く活動より出発し、ニューヨーク、ブルックリンのウィリアムズバーグを拠点に本格的な活動が展開。KAMIはオリジナルメンバーの一員であり、SASUも2000年より参加。Barnstormersによるモーションペインティングの映像作品”Watching Paint Dry”は伝説となっている。

ARTIST PROFILE

アーティスト・プロフィール

HITOTZUKI(ヒトツキ)

アーティストKAMIとSASUによるHITOTZUKI。壁画制作を中心に活動する二人は1999年に共同制作を開始。

KAMIのダイナミックに流れる曲線と、SASUの強く華やかなシンメトリーのモチーフが交差して描かれる独特な世界観は、ストリートカルチャーから派生した美の意識に新たな風を吹き込み、時代に新しい風景を残してきた。太陽と月を意味するHITOTZUKI(日と月)には、男と女、+と−、陰陽など相反する二つが調和し新たな世界を創るという制作の意が込められている。

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