中村キース・ヘリング美術館では、キュレーターズ・セレクション第9回目となる「山下拓也/Takuya Yamashita “museum〆an”」を開催いたします。
山下拓也はこれまでに、忘れ去られたキャラクターや使用されなくなったマスコットなどをモチーフとして、伝統的な彫刻史の自立性への問いと、リバイバル(復活・再生・復興)への関心を、場所や空間が持つ機能を同時に取り入れ、作品を制作することで探求してきました。あいちトリエンナーレ2013では、なくなってしまったサッカーチームのキャラクターを基調とし、作品展示空間の床面に直接版を掘って刷り上げた木版画によるインスタレーション<雨に散る油 feat.横浜の)を発表しています。
本展のために制作される新作もまた、開催終了後には直ちに世間からは消え去ってしまうオリンピックのキャラクターが根底とされています。山下は、現代日本ゲームやファンタジーの世界で魔物を呼び出すかのように、そのキャラクターを復活させるといいます。また、素材には当美術館が2015年に向けた展示会場の拡張工事時に解体される外壁を再利用することを着想。高さ約5メートルに及ぶ本作品は、北川原温設計の建築物がトランスフォームし、新たな生命を得たかのような物体として出現します。それは「過去のミュージアムを一度完結させ、新しいものに変わる」という意味を込め“museum〆an”《みゅーじあむ(し)めーん》と名付けられ、山下が編んでいく新たな時空と場の関係性のなかで創造されます。
八ヶ岳の地にポップに召喚する“museum〆an”。新進気鋭の若手アーティスト山下拓也が放つ新たな立体物の存在感をお楽しみください。
BIOGRAPHY
アーティスト・プロフィール
1985年 三重県生まれ
2013年 京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻修了
2010年 名古屋造形大学美術学科総合造形コース卒業
主な個展
2014年 〈TALIONの子〉 TALION GALLERY(東京)
2014年 〈museum〆an〉 中村キースへリング美術館(山梨)
2014年 〈雨F蘭〉 ART OSAKA 2014/ARTCOURT Gallery(大阪)
2013年 〈NEXT EXHIBITION / 大木裕之『うちんこ 2』〉 Art Center Ongoing(東京)
2013年 〈GEISAI #18 和多利浩一賞受賞山下拓也個展〉 Hidari Zingaro(東京)
2013年 〈絵〉 YEBISU ART LABO(名古屋)
2013年 〈弱弱様〉 ART ZONE(京都)
2013年 〈弱弱様 おNEON〉 Antenna Media(京都)
2012年 〈LOCAL HERO〉 N-MARK B1(名古屋)
主な受賞歴
2013年 GEISAI #18 和多利浩一賞(審査員賞)
2013年 京都市立芸術大学作品展 大学院市長賞
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