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1970年から1980年代にヘリングが生きたニューヨークは、パンク・ロックやヒップホップファッションなど新しいカルチャーが注目され、成功を目指す人々が世界中から集まる可能性に満ちた街である一方、ドラッグや犯罪が蔓延する危険な状態でもあり、それらが危ういバランスで成り立っているスリリングな街でした。
80年代にそのような社会の中で生まれたヘリングの作品は、命に関わる感染症との共生、児童福祉教育や人権問題をはじめとする持続可能な社会実現に向けた課題など、今日を生きる私たちにも強烈なインパクトを与えます。ヘリングが残したメッセージを、同時代を生きた写真家たちの記録写真など多くの資料が並ぶ展覧会を通して発信します。
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見どころ
1章:アンダーグラウンド・カルチャー
ニューヨークに移り住んだ若きヘリングが、80年代前半に描いたドローイングを、当時隆盛を極め、彼も大きな影響を受けたナイトクラブの写真資料とともに展示。室内に壁画を描いたり、自らが企画するイベントや展覧会を開催するなど、ヘリングの重要なアート活動の拠点ともなったクラブの様子やその時代の熱気を伝える。
2章:ホモエロティシズムとHIV・エイズ
「LGBTQ+」という言葉もなく、性的少数者への差別や偏見、抑圧が今よりも強かった80年代に、ヘリングは自身がゲイ男性であることをオープンにしてアーティスト活動を行っており、このアイデンティティは彼の制作活動における重要な要素であった。男性器をモチーフとした作品などホモエロティシズム溢れる作品とともに、当時ゲイコミュニティに深刻な影響を与えたHIV・エイズの正しい理解の促進や抗議活動のために制作された作品を紹介する。
3章:社会に生きるアート
アートを通して様々な社会活動を行ったヘリングは、特に子どもたちへの教育・福祉活動に力を注ぎ、子どもたちのために惜しみなく作品を制作した。こうしたヘリングの活動や子どもたちとの繋がりを示す日本初公開の「マウント・サイナイ病院のための壁画」とともに、すべての人にアートを届けたいという信念からニューヨーク市内にオープンした「ポップショップ」の資料を展示。現在も社会の中で生き続けるヘリングのアートの展開を紹介する。
4章:ニューヨークから世界へ
ヘリングがニューヨークで出会い、影響を受けたトップランナーたちとのコラボレーションによって制作された作品は、ヘリングのアーティストとしての認知度をさらに向上させることとなり、また、ダウンタウンの大手画廊と契約を結び、国外でも個展を開催するなど瞬く間にスターダムにのし上がっていった。本章では、小説家ウィリアム・S・バロウズやアンディ・ウォーホルとのコラボレーション作品、名だたるアーティストとともに招聘された遊園地型の現代アート展「ルナルナ」の資料などニューヨークの地下鉄構内に端を発したヘリングの活動が、世界中に広がっていった流れを展開する。
FEATURED ARTWORKS
主要展示作品
RELATED EVENTS
関連イベント
関連イベント①
6月プライド月間企画 クィア・フィルム上映会
会期:2023年6月24日(土)ー6月25日(日)
主催:中村キース・ヘリング美術館
企画協力:ノーマルスクリーン
字幕協力:カナダ大使館、新千歳空港国際アニメーション映画祭
6月24日(土)25日(日)の2日間、6月3日より開催される「キース・ヘリング:NYダウンタウン・ルネサンス」展関連企画として、6月のプライド月間の機会に「中村キース・ヘリング美術館 クィア・フィルム上映会」を開催します。
1969年6月28日にニューヨークで「ストーンウォールの反乱」が起きた月として、6月は世界的にLGBTQ+の権利の啓発や認知向上を目指す「プライド月間(Pride Month)」として各地でイベントが開催されています。
ストーンウォールから約10年、「LGBTQ+」という言葉もなく、性的少数者への差別や偏見、抑圧が今よりも強かった80年代に、キース・ヘリングは自身がゲイ男性であることをオープンにしてアーティスト活動を行い、LGBTQ+コミュニティの可視化やHIV・エイズの正しい理解の促進などを目的とした啓発活動を行いました
当館は、キース・ヘリングの遺志を継ぎ、毎年プライド月間である6月に様々な活動を行なっています。今年は映画上映シリーズ「ノーマルスクリーン」協力のもと、クィア・フィルムの表現を通して「クィアネス(クィアであること)」について考える機会として、初の2日間連続映画上映会を開催します。
初日、24日(土)はノーマルスクリーン秋田祥さんを招いてゲストトークも開催します。
関連イベント②
フードトラックが中村キース・ヘリング美術館の森にやってきた!
現在開催中の「キース・ヘリング:NYダウンタウン・ルネサンス」展の関連イベントとして、8月の金・土・日・月を中心に13日間、ニューヨークを感じるような多国籍料理や焼きたてピザ、山梨だからこそ味わえるスイーツなど様々なフードトラックが日替わりで美術館の「森」にやってきます!
アート鑑賞と、緑豊かな自然と木漏れ日の中での食事をお楽しみください。
関連イベント③
オンライン座談会「いつも見かけるトイレのマークに違和感を感じる?感じない?」
2024年2月24日(土)17:00ー18:30
ゲスト:アンドロメダ、ジェレミー・ベンケムン、ユリ・アボ
中村キース・ヘリング美術館のトイレを、誰でも使うことのできる全個室のオールジェンダートイレへの改装を機に異なる出身地・ジェンダーのバックグラウンドをもちながらそれぞれがクリエイティブの分野で多彩に活動する3名を迎え、ジェンダーや固定概念について語り合うオンライン座談会!「ハウス・オブ・フィールド」展会場よりお送りします。