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企画展

ハウス・オブ・フィールド

2023/06/03 (土) - 2024/05/19 (日)
会場:中村キース・ヘリング美術館
主催:中村キース・ヘリング美術館
後援:米国大使館
特別協力:パトリシア・フィールド・アートファッション

本展では、衣裳デザイナー、スタイリストとしてエミー賞受賞やアカデミー賞ノミネートなど華々しいキャリアを誇るパトリシア・フィールドが、半世紀の歳月をかけて蒐集したアートコレクションをご紹介します。
ニューヨークに生まれ育ったフィールドは、1966年にニューヨーク大学を卒業したのち、ブティック「THE PANTS PUB, LTD.,」をオープンしました。このブティックは、イースト・ビレッジを中心に移転を繰り返しながら「ハウス・オブ・フィールド」と呼ばれる集団を形成していきます。「ハウス」とは、ボールルーム・シーン*における黒人やラティーノのLGBTQ+コミュニティで使われるようになった、従来の枠組みに囚われず生活を共にする集団がその結束を示して使用する言葉です。ハウス・オブ・フィールドは、パトリシア・フィールドを中心とした彼女のブティックに所属するスタッフやデザイナー、アーティスト、美容専門家、また彼女を慕う人々によって構成され、ブティックの重要な要素として変遷を辿りながら現在も維持されています。
このブティックの特徴は、壁やショーウィンドウ、試着室の扉にいたるまで空間全体を彩る個性豊かなアートでした。ハウスにおける母親的存在であったフィールドは、気に入った作品を購入することでアーティストたちを支え、アーティストたちもまたフィールドに敬愛の気持ちを込めてポートレートを贈りました。
半世紀にわたって親しまれてきたブティック「パトリシア・フィールド」は、2016年春に惜しまれながら閉店し、このアートコレクションの主要作品約190点が中村キース・ヘリング美術館に収蔵されました。
本展では、ハウス・オブ・フィールドが辿ってきた道のりをティナ・ポールによる写真とともに回想しながら、ペインティングや写真、オブジェなど約100点を展示します。これらの作品は、人間の欲望を包み隠すことなく、むしろそれを誇張しながらポジティブなエネルギーに変換し、自分らしく生きることとは何かを問いかけてきます。パワフルな作品やフィールドを取り巻く人々の煌びやかな装いは、社会構造がもたらす人間の醜さから自らを守る鎧であり、それを身に纏っているのは不条理な社会の犠牲になりながらもそれに抗い続ける人々なのです。

*ボールルーム(Ballroom)は本来「舞踏室」の意味を持ち、1970年代以降のニューヨークのアンダーグラウンドシーンでは、LGBTQ+コミュニティなどによるファッションやダンスのコンテストあるいはそれを行うコミュニティを指す。

Patricia Field

パトリシア・フィールド

ニューヨーク生まれ。『プラダを着た悪魔』や『セックス・アンド・ザ・シティ』、『エミリー、パリへ行く』など世界的なヒットを記録した映画やドラマの衣装デザイナー、スタイリストとして知られる。ニューヨーク大学で哲学と政治学を学んだのち、1966年に自身の初となるブティックをグリニッジビレッジのワシントン・スクエアにオープン。2016年に惜しまれつつブティックを閉店後、「着るアート」をコンセプトとしたブランド「パトリシア・フィールド・アートファッション」を展開し、ファッションだけでなく大衆文化に多大な影響を与え続けている。

INSTALLATION VIEW

インスタレーションビュー

Photo by ©︎Kohey Kanno

HIGHLIGHTS

見どころ

1. 多様な作家による作品をティナ・ポールの写真とともに紹介

80年代以降、ニューヨークのナイトライフを記録し続ける写真家ティナ・ポールの写真とともに、パトリシア・フィールドのアートコレクションを紹介します。アメリカを代表するアニメーション映像作家であり画家としても知られるスーザン・ピットなど著名な作家から、無名の作家まで、幅広い作品を蒐集してきたパトリシア・フィールド。彼らにとっての「家」である「ハウス・オブ・フィールド」の「母親」として、パトリシア・フィールドは生活の場や表現の場を提供してきました。パトリシア・フィールド・アートコレクションは、そうした親密な関係のなかで構築されてきました。

2. 1980年代中期のブティック「パトリシア・フィールド」の記録映像展示とブティックの再現インスタレーション

本展では、ネオンサインやマネキンなどブティックで使用されていた小道具を用いたインスタレーションで、個性豊かなハウス・オブ・フィールドの人々とアートで溢れたブティックの雰囲気を再現します。展示室では、ダウンタウンのクラブやアートシーンを記録したビデオグラファー、ネルソン・サリバンによる1980年代中期のブティック「パトリシア・フィールド」の映像を常時放映し、パトリシア・フィールドやブティックのスタッフ、買い物客らの会話が響く中で作品をご覧いただきます。

FEATURED ARTWORKS

主要展示作品

マーティーン《カット・アウト・ガール》制作年不詳

オーラン《パトリシア・フィールド》制作年不詳

ポール・チェルスタッド《1988年に行われたパット・フィールドのファッションショーのための壁画》1988年

リチャード・アルバレス《レス゠ビヨンド》2008年

スザンヌ・マルーク《ORATOR - MALCOLM X》1984年

アーティ・ハック《イマジネーションを呼ぶあなたのための鏡》2008年

Patricia Field Store at 10 East 8th Street, NYC 3/27/86 photo by ©Tina Paul

スーザン・ピット《無題》制作年不詳

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