中村キース・ヘリング美術館“キュレーターズ・セレクション”は、多角的な解釈でキース・ヘリング芸術を再考するため、当館学芸員により作品をセレクションし企画しているシリーズ展です。
ヘリングの「記号性」(Vol.2)展では、有数のアフリカ美術のコレクションを誇るアフリカンアートミュージアムの所蔵作品より、コンゴ民主共和国の民族クバのテキスタイル、ラフィアヤシの織物《ロング・ンチャク》とヘリングの作品を対峙します。
「プリミティブでポップなものにものすごく関心があった。ぼくのドローイングのスタイルはエスキモーやアフリカン、マヤ、そしてアボリジニーのアートにとても近い」
ーキース・ヘリング 1985年
ヘリングの光る赤ん坊、吠える犬、ピラミッド、踊る人やオールオーヴァーに織りなされる線は、繰り返し描写され、記号となって画面に現れます。
一方、大自然のリズムに呼応した息のながい針仕事によって制作されたクバのテキスタイルにも、幻想的な幾何学模様が布面に記号となって繰り広げられています。記号論を学んだヘリングはアフリカンアートに記号性を見出していたのではないでしょうか。
アフリカ美術との関係性から浮かび上がるヘリング作品の新たな魅力をお楽しみください。