キース・ヘリング生誕60年記念展を開催。
中村キース・ヘリング美術館は、2018 年 2 月 9(金)から 2018 年 11 月 11 日(日)まで 「Drawing Social Impact キース・ヘリング:社会に生き続けるアート」展を開催します。 1987 年、20 歳でキース・ヘリングは故郷ペンシルバニア州からニューヨークへ渡りました。当 時のニューヨークは不況下で暴力や差別が蔓延する反面、ヒップホップやグラフィティなどのスト リート・カルチャーが創り出される源泉に溢れていました。その街でカウンターカルチャーに大き な影響を受けたヘリングは、激動するニューヨークで、そして世界中の都市を駆け巡りながら、ア ートを通し様々なメッセージを生涯発信し続けました。 ヘリングが社会とのコミュニケーションとしてまず初 めに着目したのがニューヨークの地下鉄でのサブウェ イドローイング制作でした。誰もが使う地下鉄構内の看 板は絶好のパブリック・スペースでした。黒い紙が貼ら れた空き看板に白いチョークで素早く描き上げるグラ フィティにはウィットに富んだメッセージがダイレク トに表現されました。その後はポスター・アートにも着 目し核放棄や、反アパルトヘイト、エイズ予防、LGBT の認知など社会的な問題にも取り組んだのです。 社会における階級や地位、性別や人種、宗教や文化の違 いに関係なく誰もが触れることのできるアートを追求 したヘリングの作品は、テロや戦争の耐えない現代社会へ時代を超えてパワフルなメッセージを投 げかけ続けています。
本展では、新しく収蔵作品に加わる 1990 年の作品《オルターピース:キリストの生涯》を初公開 します。これは 1990 年 2 月 16 日 31 歳でエイズにより亡くなる数週間前に完成した最後の作品 です。教会の祭壇のためのオルターピースとして現在世界の教会や美術館 9 箇所に収蔵されてい ますが、ヘリングの追悼式が行われたニューヨークのセント・ジョン・ザ・ディヴァイン大聖堂に 今も飾られています。死を目前にしたヘリングの平和への願いと希望、そして生命の力が刻まれた 永遠の作品です。
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